ASJ Freshニュース 第104号 (2023年4月29日号) 

新年度のご挨拶(学生・若手フォーラム代表) 
家庭菜園のすゝめ(夏野菜編・冬野菜編) 

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日本音響学会 学生・若手フォーラム 
ASJ Freshニュース 第104 
2023年4月30日 発行 
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みなさん,こんにちは! 

新年度となり,研究室や職場に新しいメンバーは加わりましたか?また,新しい環境での研究活動やお仕事に取り組んでいる方もいられると思います.みなさんフレッシュな気持ちで様々なことに挑戦できるといいですね! 

今月号のASJ Freshニュースは,学生・若手フォーラム代表のご挨拶に加えて,フォーラム内外で密かに盛り上がりつつある「家庭菜園」特集です!ご自宅で簡単にできる野菜の作り方について ,本フォーラムOBの小泉さん(夏野菜編)と現役メンバーの中村さん(冬野菜編)にご寄稿いただきました! 

新年度のご挨拶(学生・若手フォーラム代表) 

新年度に入って1ヶ月経ちますが,いかがお過ごしですか?この連休で一息,という方も多いのではないでしょうか.そして,この春に音響分野で新しく研究・勉強を始められた皆さん,ようこそ!私たち日本音響学会学生・若手フォーラムでは,ビギナーの方が学会や研究を楽しめるよう情報発信やイベント開催をしていますので,折々でご活用いただければ嬉しく思います. 

昨年は9月の研究発表会が久々の現地開催となりましたね.フォーラムでも昨年度,対面/オンライン両方でイベントやセミナーを開催し,たくさんの方にご参加いただきました.こんにちでは対面とオンラインを行き来しながらの研究生活がスタンダードになりつつあると思いますが,フォーラムは今後も双方で活動を展開していきますので,どうぞよろしくお願いいたします. 

また末筆になりますが,音響学会をはじめとする関係各所の皆様や先生方におかれましては,日頃より当フォーラムの活動にご支援を賜りありがとうございます.今後も引き続きご支援・ご指導をいただけますと幸いです. 

(学生・若手フォーラム代表 米村美紀) 

家庭菜園のすゝめ(夏野菜編) 

OBの小泉です.学生・若手フォーラムでは,正規の活動の他に,同じ趣味を持つメンバーが非公式に同好会を作って楽しんでいます.今回はそのうちの一つである家庭菜園同好会から,小泉が夏野菜について,中村が冬野菜と多年草野菜について寄稿します. 

#なお,執筆者らは農学の学位を持っているわけでもなく,園芸専門店で勤務した経験もないので,チラシの裏の落書き程度だと思って読んでください 🙂 . 

さて家庭菜園の夏野菜で最も人気の野菜の一つとして,今回はトマトをご紹介します.特にミニトマトは「注意するべき点さえ間違わなければ」,収穫期には毎日,採れたてトマトが食べられる楽しい野菜です.図1左は,大きく育った株からミニトマトを子供と一緒に収穫する著者であり,図1右は採れたてトマトです.うまくいけば,2〜3株あれば3日に1回程度,この量が収穫できます. 

 
図1:子供と共にミニトマトの収穫を楽しむ著者(左)と収穫したトマト(右) 

トマトの植え付け時期は4月下旬〜5月上旬です.そう!今なのです!さあみなさん,トマト栽培キットを買いに行きましょう! 

栽培キットを買いに行くために Googleで検索すると,トマト栽培に関する沢山の情報を得ることができます.しかし,おそらく「家庭菜園を始めてみよう!」と思って,栽培キット一式を購入する際に,正しい情報を頭に入れてホームセンターに行く方はほとんどいないでしょう.その結果,苗の購入時に失敗をして,悲しい収穫期を迎える方もいるはずです.なお,図2左は私が家庭菜園を始めた最初の年のトマトの植え付けで,致命的な過ちを複数犯しています.その結果が,図2右の7月下旬(収穫期)の無惨なトマトの姿です. 


図2:間違ったトマトの植え付け(左)と収穫期の無惨な姿(右) 

ということで,今回は「この夏,家庭菜園を始めてみたい!」という読者を想定して,苗の購入時に最低限間違えてはいけない2点を説明します. 

苗の購入時に間違えてはいけない点 

図2左で主に間違っている点は以下の2つです. 

  1. プランターが小さすぎる&1つのプランターに3株も植えている 
  2. 苗の選び方が間違っている 

大きいプランターで育てましょう 

植物を健康に育てるための1つの条件が,根が元気であることです.特にトマトは,とても広範囲に根を張る植物です [1].苗の時には小さくて可愛らしいトマトも,2ヶ月もすれば大人の背丈くらいまで大きくなります.当然,根っこも広範囲に伸びるので,小さいプランター&少ない土量では,健康に育たなくなります. 

感覚としては「え?!こんなに大きいので育てるの?!」くらいで良いと思います.直径30㎝×深さ30㎝程度に1株が目安ですが [2],数字を見てもわかりづらいです.私は図3のように,67×34×26 cm のプランターに2株ずつ植えています.最初はかなりスカスカに見えますが,2ヶ月後には葉が生い茂って,土がほとんど見えなくなります.また片付けの時には根がプランター内でパンパンになっています.ですので,これでも小さいくらいです. 


図3:植え付け後のトマト(2023年4月初旬) 

元気な苗を選びましょう 

といっても,何をもって元気か?はなかなか見てもわからないと思います.個人的な感覚は「強そう」なのですが,具体的には,この記事[3]が非常にわかりやすいです.図2左のトマトの苗は,一番左の苗は小さすぎで,一番右の苗はヒョロヒョロしていて弱そうです.ただし,[3] のページの観点を全て満たす苗は,まずお目にかかれないです.もし見つからなかったら,図4の左の苗のような「ひょろひょろしておらず,節間が詰まったもの」を選ぶと良いかと思います.反対に,図4の右のような苗はおすすめしません. 


図4:苗の比較.4月上旬撮影のため左の苗は小さいが,葉が緑で節間が詰まっているので悪くない.右の苗は,葉の色が薄くひょろひょろとしている. 

この他のFAQは下に記載しましたが,これらの知識は植え付けをしてからでも遅くはないと思います.植え付けをしたら,その日からトマトに愛着が湧いて,毎日,トマトを眺めたり,トマトについて調べたり,トマトの栽培動画をYouTubeで探すようになると思います(私は『カーメン君』[4]を勝手に師と仰いでいます).収穫の喜びは格別です(図5)!楽しんでいきましょう!そして,学生・若手フォーラムに入会し,家庭菜園同好会としての活動を楽しみましょう!(私はもういませんが…) 


図5:家庭菜園の成果の一例. 

FAQ 

水やりは? 

土が乾いたらあげましょう.土の種類や置き場所によるのでなんとも言えませんが,春先なら2,3日に一度,真夏は毎日くらいです.トマトは乾燥に強く,むしろ水をあげすぎると,味が落ちたり,裂果(トマトに水分が入りすぎて裂ける現象)の原因にもなります. 

置き場所は? 

一日中,日光が当たる場所に置きましょう.また,雨水が直接当たらない場所に置きましょう.病気や気根(茎から根が出る現象),裂果の原因となります.

肥料は? 

追肥(植えた1ヶ月後頃に入れる肥料)は,よくある野菜の肥料を,袋の裏に書いてある通りに入れます.細かいことを言えば,窒素リン酸カリの比率が!となりますが,慣れてからで良いです.私は元肥(植える前に土に混ぜる肥料)を入れますが,量によっては根に影響も出るので,気になれば元肥入りの培養土を買いましょう. 

堆肥とかはいらないの? 

培養土を買えば不用です.土の再利用の際に使うこともありますが,土の復活剤(堆肥や通気性などを改善する資材を適切な比率で混ぜたもの)を使う方がお手軽です.挑戦したい方は,自分でブレンドするのも面白いです! 

農薬は? 

無くても出来ます.筆者の家は未就学児がいるので農薬ではなく,木酢液でやってます.が,文明の力に頼らないと,家庭菜園は一気に難しくなります.特に,ウリ科(きゅうりやカボチャ,スイカなど)の病害虫(うどん粉病やウリハムシ)には毎年悩まされます.特にこだわりが無ければ,農薬を適切に利用した方が良いと思います. 

他にオススメの夏野菜は? 

ジャガイモとサツマイモは土量さえ確保できれば非常に簡単です.サツマイモは梅雨入り前くらいに苗(茎みたいで最初は驚きます)が売りに出るのでそれを適切に地面に刺せば良いです.ジャガイモは今からだと秋作になるので,8月末ころに種芋を買ってそれを植えます.秋作のじゃがいもは少し難しいので,このページ [5] などの注意点を読んでからホームセンターに行きましょう.カボチャとトウモロコシはやや難しいですが(無農薬だとマゾゲーです)出来た時は感動します. 

References 

[1] トマトの育て方.com

[2] カゴメ Vegeday, トマト栽培&育て方

[3] トマトの力, トマト苗の選び方のコツ

[4] カーメン君」ガーデンチャンネル, 必ず収穫できるトマトの育て方 5つのポイント

[5] タイキネット通販, 秋ジャガイモの作り方と貯蔵

(学生・若手フォーラム OB 小泉悠馬) 

家庭菜園のすゝめ(冬野菜編) 

若手フォーラム事務班の中村です.家庭菜園は5年以上している気がしますが,感覚でやっているのでまだまだ初心者です.小泉さんの記事では夏野菜を扱っていましたので,冬野菜や多年草野菜について書いていこうと思います. 

冬野菜 

冬は気温も低く日照時間も限られるため,夏野菜に比べて冬野菜は生育に時間がかかります.一方,夏野菜に比べて虫が少なく,それほど水やりもしなくてもよく育ちます.特に最近の夏は気温が高く,朝晩水やりをしないといけない日も増えてきています.冬はその手間がいらないので,私のような物臭な人向きかもしれません.肥料を撒く時間間隔も,経験上夏よりは長くて大丈夫です. 

冬野菜の代表格といえば,ダイコンです.地植えでないと作れないと思われる人もいるかもしれませんが,プランターでもそこそこの大きさの鉢があれば育ちます.実際に著者がプランターで育てたものを図1に載せておきます. 

 
図1:プランターで収穫間際のダイコン(左)と収穫後のダイコン(右)  

収穫したてのダイコンは,みずみずしく早く煮えますので,おでんなど冬料理にさっと使えて便利です.また,葉も炒め物やふりかけにすると美味です. 

ここまで読んできて,ダイコンを育ててみたくなったと思いますので,ポイントをいくつか書いておこうと思います. 

種まき 

ダイコンは根菜ということもあり,育てるプランターに直接種を撒いて育てます. 

  • 種:100円ショップで売っているものでもOKです. 
  • プランター:30 cm以上の深型のプランターがおすすめです.私が使っているものは図2のものです.ない場合は,土の袋の上部分を開けてそのまま使いましょう.乱暴に思うかもしれませんが,歴とした栽培方法(袋栽培)です [1]. 
  • 土:ホームセンターなどで一緒に買っておきましょう.去年の土を処理して使いまわすこともできますが,新しい土を使う方が栄養,最近バランスがとれているので断然楽です. 


図2:深型プランターの例 

種まきの手順は,種の袋に書いてある手順に沿えば問題ありません.大抵の場合は,以下の手順になるかと思います. 

  1. 風通しのよい日当たりのいい場所にプランターを設置し,土を投入. 
  2. 土の真ん中あたりに,2~3 cm程度の穴を開ける. 
  3. 穴に2~3個の種を投入し,土をかぶせる. 

手順1の直後にもう少し穴を深くほって,肥料を一掴み撒いて土をかぶせておくのもよいと思います. 

種まき後の手入れ 

発芽すると,2,3本芽が生えてくると思います.本葉が生えてきた頃合いで,一番元気そうなものを除いて間引いてしまいましょう.間引いたものも葉ダイコンとして料理に使えます.著者はこのぐらいで追肥をして,残った1本の成長にブーストをかけます. 

病害虫もなくはない(軟腐病など)ですが,経験的には風通しを良い場所においておけばよく育つと思います.心配であれば,野菜用の殺菌殺虫剤を散布しましょう.長く見積もっても,人生で野菜は80回程度しか作れませんので,個人的なこだわりがなければ文明の利器に頼りましょう. 

夏野菜では病害虫に注意が必要ですが,冬野菜では鳥にも注意が必要です.特に,ムクドリは葉や実,蕾など容赦なく食べてくるので,用心が必要です.株の周りに支柱などを立てて,それをベースに鳥が嘴を入れにくいような目の網で株全体を覆いましょう.このとき,隙間なくきちっと覆うことがポイントです.奴らは隙間があれば入ってきます.著者のところだと,ほうれん草の若芽やブロッコリーの蕾などが被害を受けています. 

育ってしまえば,あとは鳥に食べられる前に引っこ抜くだけです.内側の葉っぱが全体的に垂れてきたら,そろそろ収穫の合図です.抜くまで長さがはっきりしないのも,ダイコン栽培の面白いところです. 

多年草野菜 

多年草野菜でおすすめなのがニラです.一度植えれば,2~4年は収穫できるそうです.著者のところでは5年目のものもいます.主な収穫時期は春~秋になりますが,最盛期だと2週間に1度のペースで収穫できます.小さい鉢でも育つので,そこそこ数を集めればニラはほとんど購入せずに済みます. 


図3:著者で栽培しているニラ(左)とその収穫後(右) 

ニラはダイコンより育てるのが楽です.水と肥料を切らさないようにするだけで,どんどん生えてきます.苗も買ってきて定植するのもいいと思いますが,4月下旬ぐらいに種を撒いて育ててもよい感じです.種の場合は,発芽までの時間が長い(体感では1週間強)ため気長に待ちましょう. 

おまけ:今年の夏野菜 

ここ数年は,定植時期を最低1,2週間ずらして複数種の野菜を植えています.こうしておくと,同種の野菜では収穫のピークがずれて収量が安定します.また,適切な種類の野菜を並べて置くことで(コンパニオンプランツなど),ちょっとですが病害虫の忌避効果があります.今年は,第一弾としてトマト,シシトウ,ナスを植えてみました(図4). 


図4:今年の夏野菜第一弾のトマト(左),シシトウ(真ん中),ナス(右) 

これら3つは,初心者でも比較的育てやすいと思います.他にも,オクラ,モロヘイヤ(蕾や花に毒があるため注意),エダマメも育てやすいと思います.キュウリも夏野菜の定番ですが,病気(うどんこ病,サビ病など)になりやすく慣れてからのほうが育てやすいと思います.最近は耐病性の苗もありますが,枯れるときは枯れます. 

終わりに 

長々と書いてきましたが,家庭菜園は自分で楽しめればOKなので,好きなようにやるといいと思います.著者も「肥料は思うとる倍」で肥料を撒いていたりします.さらに,情報交換ができる場があると初心者でもやりやすいです.学生・若手フォーラムと家庭菜園同好会への入会,待ってます. 

References 

[1] ダイコン | 袋栽培でつくれる野菜 | 袋で野菜をつくろう! | タキイ種苗株式会社

(学生・若手フォーラム 事務班 中村友彦) 

 

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