◆ 天体観賞のすすめ
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日本音響学会 学生・若手フォーラム
ASJ Freshニュース 第137号
2026年02月01日 発行
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はじめに
みなさん,明けましておめでとうございます!東京大学大学院博士課程1年の山内一輝です.今月号のASJ Freshニュースでは,「フォーラムメンバーの趣味」として,私の趣味である天体観賞についてご紹介させていただきたいと思います!
日々研究や業務に追われ,気づけばスマホやパソコンの画面ばかりを見つめている……という方も多いのではないでしょうか?時には喧騒を離れ,夜空を見上げて,リフレッシュしてみるのも良いかもしれません.今月のASJ Freshニュースは,そんな「天体観賞のすすめ」です!
星空を眺めよう!
都会の喧騒を離れ,灯りの少ない場所へ行くと,夜空には驚くほどの星が広がっています.Fig. 1は,私が数年前の2月に撮影した富士山と星空の写真です.冬は空気が乾燥して水蒸気が少なく,大気の透過率が高いため,星がひときわ綺麗に観られます.
また,澄んだ夜空をじっと見つめていると,星がチカチカと瞬いているのがわかるはずです.この瞬きは,星の光が大気を通過する際,温度や密度の異なる空気の層で屈折を繰り返すことで起こります.肉眼でしか味わえない,この「瞬く満天の星空」をぜひ体感しに行ってみてはいかがでしょうか.

Fig. 1 山中湖湖畔にて.驚くほどの数の星が見えます.(筆者撮影)
冬の夜空は「冬のダイヤモンド」に注目!
12月から3月ごろは,明るい一等星が多くとても豪華な星空が楽しめます.特に注目していただきたいのが,南の空に輝く以下の6つの明るい星を結んで描かれる大きな六角形,「冬のダイヤモンド」です(Fig. 2).
- おおいぬ座のシリウス
- こいぬ座のプロキオン
- ふたご座のポルックス
- ぎょしゃ座のカペラ
- おうし座のアルデバラン
- オリオン座のリゲル
その一角を担う「ふたご座」には,カストルとポルックスという有名な兄弟星が並んでいます.ギリシャ神話では,大神ゼウスの血を引き不死身だった弟ポルックスが,戦いで亡くなった兄カストルと離れることを嘆き,自らの死をゼウスに懇願したといいます.その兄弟の深い絆に心を打たれたゼウスによって,二人は星座になりました.そんな神話に想いを馳せると,星空もまた違って見えてくるかもしれません.
ちなみに,ふたご座は英語で「Gemini」.あのGoogleのAIアシスタントの名前の由来にもなっている星座なんです.なんだか急に親近感が湧いてきませんか?

Fig. 2 冬のダイヤモンド.
3月3日は皆既月食!
さて,来たる2026年3月3日(火)は,日本全国で皆既月食が観測できます.皆既月食とは,月が地球の影にすっぽりと隠れる現象です.影に入った月は完全に真っ暗になるわけではなく,地球の大気層を通過する太陽光のうち,波長の長い赤い光だけが散乱されず,地球の大気により屈折して月に届くため,幻想的な赤銅色に輝きます(Fig. 3).
今回は食の最大が20時から21時ごろと,無理なく観測できる絶好の時間帯です.これはもう,見るしかありませんね! ……余談ですが,私は前回の皆既月食の際,月に見惚れて階段を踏み外し,足を捻ってしまいました.みなさんも,月への集中しすぎには十分ご注意ください.
ちなみに,Fig. 3の写真ですが,ただの皆既月食の写真ではありません.2022年11月8日,皆既月食の最中に天王星が月に隠れる「天王星食」が同時に起こった,極めて珍しい瞬間です(日本での同時観測はなんと442年ぶり!).月の左下にある,小さな青白い点(天王星)が見えるでしょうか?このような稀な瞬間をカメラに収められたときの感動は,今でも忘れられません.

Fig. 3 2022年11月8日撮影.皆既月食と天王星食のコラボ.(筆者撮影)
天体撮影のすすめ
眺めるだけでは飽き足らないという方には,ぜひ撮影にも挑戦していただきたいです. 最近のスマートフォンはナイトモードの進化が著しく,手軽に美しい星空を撮れるようになりました.しかし,本格的な天体撮影を楽しむなら,やはり一眼レフやミラーレス一眼といった「デジタル一眼カメラ」がおすすめです.主な理由は,光を受け止めるセンサーサイズにあります.微弱な星の光を捉えるには,より多くの光を取り込める大型センサーが有利です.一眼カメラなら,ノイズの少ないクリアな画質で星空を写し出すことができます.
参考として,私が皆既月食や星空を撮る際は,以下のような機材を使用しています(Fig. 4).
- カメラ(一眼レフ)
- レンズ(皆既月食を撮るための望遠レンズ,星景写真を撮るための広角レンズ)
- 三脚(長時間露光時にカメラを固定するため)
- レリーズ(シャッター振れを防ぐため)
- ポータブル赤道儀(星の動きに合わせてカメラを回転させる追尾装置)
「でも,そんなに高い機材は持っていないし……」という方もご安心ください.最近はカメラやレンズのレンタルサービスも充実しています.「この日だけ使いたい!」といった時でも,ハイスペックな機材を数千円から借りられたりするので,意外と手軽にチャレンジできますよ.

Fig. 4 筆者が皆既月食を撮影したときに使用した機材.
おわりに
最後にひとつ,重要な注意事項があります.冬から春にかけての夜間,特に標高の高い場所や水辺での観賞は,想像以上に冷え込みます.天体観賞や撮影は長時間じっとしていることが多いため,思っている以上に体温を奪われがちです.厚手のダウンジャケットや手袋,カイロなど,万全の防寒対策をしてお出かけください.
3月3日の夜,綺麗な月が見えるよう晴天を祈っています.皆さんもぜひ,夜空を見上げてみてくださいね!
(山内一輝 学生・若手フォーラム コンテンツ班)
