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日本音響学会 学生・若手フォーラム
メールマガジン 第11号
2013年9月21日 発行
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●●┣━━━ 目 次 ━━━┫●●
◆ASJ研究発表会 直前特別企画「注目の発表を聞いてみました!」
◆サマーセミナー講演報告
◆日本音響学会誌に本フォーラムの紹介記事が掲載されました
◆学生優秀賞が発表されました
◆国際会議体験記『Interspeech2013』公開予告
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ASJ研究発表会 直前特別企画
「注目の発表を聞いてみました!」
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今年の秋の研究発表会まであと数日になりました。どの発表を聴こうか悩み
ながらプログラムとニラメッコしている人も多いはず。そんなあなたのために,
各分野の若手研究者の方々に注目している研究発表を聞いてみました。聴講す
るセッションを決める際の参考になれば幸いです。
※分野名はあくまで目安です。その分野外の研究をしている方も多いですし,
その分野の発表を紹介しているとも限りません。
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【音声A】K氏(民間企業)
私は,音声認識における音響モデルの研究をしています。今回の研究発表会
では,次の発表に注目しています。
1-P-4d Denoising Autoencoder による残響除去の大語彙音声認識における評価
☆小宮山 大樹(千葉大),篠崎 隆宏(東工大),堀内 靖雄,黒岩 眞吾(千葉大)
Denoising Autoencoderというのは,ノイジーな音声からクリーンな音声を推
定するのをニューラルネットを使ってやるというものなのですが,Denoising
Autoencoderがどのぐらい使い物になるのか,その評価結果が気になります。
2-8-7 ベイズ統計量を用いた対数線形モデルに基づく話者認識
☆柘植 彬史,橋本 佳,南角 吉彦,徳田 恵一(名工大)
私は,これまでずっと対数線形モデルを使って研究をしてきたのですが,そ
れとベイズがどう結びつくのか,というところに興味があります。
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【音声B】齋藤 大輔氏(東京大学大学院情報学環・助教)
私は,音声処理における話者性のモデリングを主に研究しています。私が今
回注目している発表はいろいろありますが,強いてあげるならこの2つです。
2-7-12 スパース近似と畳み込みカーネルを用いたガウス過程回帰に基づく音声
合成
☆郡山 知樹,能勢 隆,小林 隆夫(東工大)
彼らは,音響パラメータをガウス過程回帰でフレーム単位で直接モデリング
しようという研究をしていて,前回の東京工科大での発表を聴いて面白いと
思ったのですが,その続編ということで,期待しています。
3-7-5 時間変化を考慮したDeep Learning を用いた声質変換
☆中鹿 亘,滝口 哲也,康雄 有木(神戸大)
声質変換は,最近まではGMMが主流で,ニューラルネット系は影に隠れていた
感じだったんです。最近ディープニューラルネットが流行りつつありますが,
彼らはディープニューラルネットを使った声質変換をいち早く試みた研究グ
ループなので,そういう意味で注目しています。
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【音楽音響】深山 覚氏(産業技術総合研究所)
私は音楽情報処理に関する研究に取り組んでいます。今回の研究発表会では,
次の発表に注目しています。
東海支部40周年記念特別講演・記念コンサート
研究発表会本体ではなく前日の連動企画なので,若干反則技の感じもします
が,歌声というのは,音楽情報処理の研究の中で極めて存在感の大きいトピ
ックです。その火付け役というか,第1人者である剣持さんの講演が聴けて,
また,複数の歌声生成技術を用いたコンサートまで聴けてしまうのは,かな
りオトクだと思います。
スペシャルセッション「ここまで来た声質変換技術」(音声B/音声A/聴覚)
こちらも一般発表ではないんですが(笑),声質変換というのは,Deep
Neural Net,NMF,TANDEM-STRAIGHTなど,いろいろなアプローチが使われて
います。こういういろいろなアプローチの研究発表が一気に聴けてしまうと
いうのは,なかなか知的好奇心を刺激されますよね。デモを聞き比べて,こ
の技術がこう違うから結果がこう違うんだとか。実用化も遠くないと思いま
すし,注目の技術です!
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【電気音響】安藤 将氏(北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科・M2)
私は人の方向知覚に関する研究をしているのですが,中でも“人の前後弁別”
に興味があります。ですので,次の2つの発表に注目しております。
3-1-14 前後方向の空間知覚に関する特徴量の検討
○大出 訓史,安藤 彰男(NHK 技研)
3-1-16 上昇角知覚に関する頭部伝達関数の第1 ピーク周波数の弁別閾
☆西岡 伸介,石井 要次(千葉工大院・工学研),飯田 一博(千葉工大・工)
これらの発表では,タイトルを見る限り,人の前後の方向知覚に関する内容
だと思いますので,しっかり聴講し,勉強したいと思います。
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【聴覚】山本 克彦氏 (北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科・M1)
私は,聴覚モデルを用いた知覚特性や聴覚補助に関する話題に興味がありま
す。今回の研究発表会では,以下の発表に注目しています。
3-P-46 2つのパルスによる同時性判断の精度 ─蝸牛基底膜振動のシミュレー
ションによる検証─
◎饗庭 絵里子(産総研),津崎 実(京都市芸),長田 典子(関西学院大),
中川 誠司(産総研)
タイトルから,蝸牛遅延と呼ばれる人間の生理学的な現象に着目した研究だ
と思われます。蝸牛遅延の仕組みに非常に興味があるので,詳細なお話が聞
けることを楽しみにしています。
2-9-4 高齢者における残響を付加した音声に対する単語了解度と聴性脳幹反応
との関連性
☆藤平 晴奈,白石 君男(九州大・芸工)
残響が高齢者の聴覚特性にどのような影響を与えるのかということ興味があ
ります。残響環境下での補聴器装用に関する知見を得ることができそうで注
目しています。
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学生優秀賞が発表されました
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春と秋の研究発表会で学生による優秀な発表を表彰する学生優秀賞。先日の
春の研究発表会の分が発表されました。
http://www.asj.gr.jp/recommending/07_gakusei.html
学生・若手フォーラムでは,学生優秀賞を受賞された方々にアンケートを実
施しています。研究発表に挑む皆がいい発表をできるよう,ノウハウや気をつ
けていることをぜひ教えていただけると幸いです。本メルマガ発行時点では,
2名の方々にご回答いただいています。まだまだ回答は募集していますので,
ぜひご回答いただければ幸いです。
http://www.asj-fresh.sp.m.is.nagoya-u.ac.jp/award
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サマーセミナー講演報告
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7/28~30の三日間,シェラリゾート白馬にてサマーセミナーが開催されまし
た。一泊数万円の高級リゾートホテルで,美味しい食事,広々したスイートル
ーム,豊かな自然とともに音響学に浸ることができ,最高に贅沢な二泊三日を
過ごしてきました。
サマーセミナーは今回で15回目,のべ参加者数はなんと1192名に達し,音響
学会の恒例行事と言えるでしょう。昼は超豪華な先生方の講義を聞き,夜はお
酒を片手に参加者や先生方と交流するので,たったの二泊三日で音響学の世界
を大きく広げることができます。今年は残念ながら雨により中止でしたが,例
年は二日目にレクリエーションがあり,音響以外の楽しみもてんこ盛りです。
「音響学の基礎と最近のトピックス」と銘打っているだけあり,講義は初学
者にもわかりやすいように工夫されていて,しかも基礎から先進の話まで非常
に幅広く聞くことができます。分野も多岐にわたり,今回はプロデュース・テ
クノロジー,音声の生成,音声合成,音声認識,音響教育,シミュレーション,
立体音響,電気音響,音楽音響,超音波,アコースティックイメージング等の
話が聞けました。デモが多いのも特徴的で,模型から発せられた音声や本物の
蓄音機の音色を聞いたり,シミュレーションソフトを触ったり,楽しい講義で
した。
夜は飲み会で,色んな研究室の人と楽しくおしゃべりしたり,講義で聞けな
かった話を先生に聞いたり,お酒があるからこその楽しみもたくさんありまし
た。一日目には参加者全員の自己紹介があり,面白い話で会場を沸かせる人も
いました。懇親会が終わった後もあちこちの部屋で飲み会が行われていたのは
ここだけの秘密です。
二泊三日があっという間に感じられるほど内容の濃いサマーセミナーですが,
そこで出会った人とその後も学会などで交流が続いたりして,たくさんの人と
音響を通じて繋がれる素敵な機会だと思います。特に学生の方は高級リゾート
の宿泊費よりも安いかもしれない費用で参加できるので,まだ参加をしたこと
がない方はぜひ参加されると良いと思います。
以上,サマーセミナーの報告でした。
(文責:矢田部浩平)
※ 下記URLに写真が掲載されています。
http://www.asj-fresh.sp.m.is.nagoya-u.ac.jp/events/summerseminer_2013
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日本音響学会誌に本フォーラムの
紹介記事が掲載されました
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“日本音響学会誌 69巻9号 (2013), pp.519-520”に「学生・若手フォー
ラム第2期活動報告」というタイトルで記事が掲載されました。学生フォー
ラムの発足当時の状況から,2010年4月よりスタートした第2期フォーラム幹
事会がこれまで行ってきた活動が詳しく紹介されています。Webの展開では
ホームページを中心にメルマガやSNS (Facebook, Twitter) の活動について
書かれています。また,企画展開報告ではビギナーセミナやサマーセミナの
イベント活動の様子について書かれています。ホームページ等が徐々に充実
していき,セミナーなどの企画も盛んに行っている様子などが読み取れるか
と思います。ぜひ一読して,学生・若手フォーラムがどのような活動を実施
してきているのか知り,興味を持っていただけたらと思います。
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国際会議体験記『Interspeech2013』公開予告
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2013年8月25~29日にフランスのリヨンにてInterspeech2013が開催されま
した。この国際会議に参加した学生と社会人の方に,それぞれの視点での国
際会議の体験記を執筆してもらいました。こちら,10月上旬に公開予定です。
公開はTwitterにてお知らせしますので,是非ご覧ください!
学生・若手フォーラムでは,国際会議の体験記を随時募集中です。執筆に
ご協力いただける方は,フォーラムまでメールをお願いいたします。
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編 集 後 記
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今回は,豊橋技科大での研究発表会を直前に控えていることもあり,音響学
会の各分野を代表して5名の若手研究者の方に,注目している発表を教えてい
ただきました。私がこのメルマガに携わるようになってからは初めての試みで
すが,聴きにいくセッションを選ぶ際のいい参考資料になるので,今後も続け
ていければと思います。音響学会の研究発表会は,音に関わる様々な分野の研
究発表が集まるのですが,パラレルセッションのためになかなか自分の専門以
外の分野のセッションには行きにくいものだったりします。本メルマガの記事
が他分野への興味を広げるきっかけになればいいなと思っています。(北原)
「学生・若手フォーラム」という組織がある,というのは知っているが,何
をやっているのかその実態が分からない,という人も中には多いのではないで
しょうか。私も幹事会に入る前はそうでした。今回,音響学会誌に本フォーラ
ムの記事が紹介されたことで,よりその内容を詳しく知るきっかけとなりまし
たら幸いです。今年度より森川代表の下,第3期フォーラムが始動しました。
今期も新たな企画や面白い記事などを模索しつつ,活発に活動していきたいと
思います。皆さんも,国際会議の体験記などを随時募集しておりますので,是
非積極的に学生・若手フォーラムに関わってきていただき,これからも学生・
若手フォーラムを盛り上げていきましょう!(濱田)
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