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日本音響学会 学生・若手フォーラム
メールマガジン第20号
2015年05月28日 発行
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●●┣━━━ 目 次 ━━━┫●●
◆フォーラムNews!
◆ASJ開催報告
◆SIGMUS開催報告
◆ICASSP & AES体験記
◆研究のデモページ紹介
◆本・参考書の紹介
◆「博士論文紹介」の宣伝
◆編集後記
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フォーラムNews!
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「自分的にアツイ」最近の話題を提供する「フォーラムNews!」。
今回は明治大学の濱田康弘が担当させていただきました。
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ここ数年で,音響を含む様々な分野でディープニューラルネットワ
ーク等のビックデータを用いた機械学習の研究が多く行われ,日々
進歩しています。今回のフォーラムNews!ではそんな話題を提供し
よう,と思ったのですが,不勉強なもので,あまり良く理解してい
ないので,妄想(フィクション)の世界に逃げようと思います。
4月から放送されているテレビドラマ「アルジャーノンに花束を」
をご存知でしょうか?原作(長編)は1966年にダニエル・キイス(
2014年没)によって書かれており,その後映画化もされています
。その時のタイトルが「Charly」(シンプル過ぎる!)。これがど
ういう訳か日本語のタイトルは「まごころを君に」。主人公の名前
だけのタイトルもどうかと思いますが,作品の解釈をタイトルにす
るのもどうか,という事はさておき,タイトルだけでも知っている
方は多いのではないでしょうか。
あらましをざっくり説明すると,ある知的障害をもつチャーリーが
知能を向上させる手術を施されることにより,徐々に賢くなってい
き,その後・・・(結末は省きます)。という話です(ざっくりし
過ぎ!)。知能を獲得する事とはどういう事か,といった事々や最
後の結末には心を打たれました。
人工知能の研究により,ロボットが徐々に人と同じような(或いは
それ以上の)振る舞いが出来るようになってきました。同時に脳科
学の研究も進み,人もある部分では機能の向上が実現されてきてい
ます。人(ヒト)をどう捉えるか,自己をどう捉えるか,といった
ことは永遠のテーマではないでしょうか。人工知能やロボティクス
に関するSF作品は多く,関連書籍から得られる事も多いので,皆さ
んも暇を見つけて読んでみてはいかがでしょうか。
以上,機械学習を学習し,理解できるだけの知能を手に入れたい,
という最近の私の願望でした。
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ASJ開催報告
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2015年3月16日~18日の3日間にかけて,日本音響学会2015年秋季研
究発表会が中央大学で開催されました!今回も面白かった発表をい
くつか挙げてもらいましたのでご覧下さい。
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北村大地(総合研究大学院大学)
普段は電気音響に生息しています。私が見た中で面白かった発表を
2件挙げました!
“多チャンネル階乗隠れマルコフモデルのスペクトル包絡事前
学習によるセミブラインド音源分離”
◎樋口卓哉 (東大院情報理工),亀岡弘和 (東大院情報理工,NTT)
音声信号処理でも有名なソースフィルタモデルを用いた音源分離で
,スペクトル包絡となるフィルタを音源毎にあらかじめ学習してお
く半教師有り手法でした。一般的に,現実に沿った複雑なモデルを
立てると推定すべきパラメータ数が大きくなりすぎる,という根本
的な問題を解決するために,シンプルなソースフィルタモデルを用
いているようです。デモの動画なども見ることができ,非常にイン
パクトがある発表だと思いました。
“受動回転時の最小弁別角度に回転速度が与える影響”
☆増見洋治,鈴木陽一 (東北大通研/院情科),本多明生 (山梨英和大),
坂本修一 (東北大通研/院情科)
人間が音の到来方向や空間的性質を知覚する上では頭部回折や耳形
状に起因するフィルタ特性等の静的な特徴量の他に,頭部の回転運
動による動的な変化も用いているようです(知りませんでした!)
。そしてそのような動的特徴量が実際にどの程度弁別能力を向上さ
せているのかを実際に測定した結果を示しています。何よりすごい
のは,頭部回転運動を定量的に模擬する為に,自動的に回転する椅
子(!)を用いた計測システムを構築した所であり,情熱が伝わっ
てきました。
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鈴木雅人(東京藝術大学)
聴覚のポスターで並んでご発表されていた2件を紹介いたします。
“聴覚路各部から生じる誘発/自発反応の刺激音圧依存性 -不快レベ
ルの客観推定のための基礎的検討-”
☆宿南篤人 (広島市大院/産総研),大塚明香 (産総研),石光俊介
(広島市大院),中川誠司(産総研)
不快レベル(“音が大きすぎて長くは聴いていられない”と感じら
れるレベル)を,脳波や脳磁界で定量的に評価することを目的とし
た研究です。刺激音や結果など見ても基礎的段階ですが,うるささ
に対する不快さの神経性利指標をつくるという目標がすばらしく,
研究の完成が楽しみです。
“練習中の楽器音への暴露がバイオリニストの聴覚末梢に与える影響”
○大塚翔 (NTT CS 研),津崎実,園田順子 (京都芸大),古川茂人
(NTT CS 研)
1時間のバイオリン演奏でも,一時的な聴力損失が起きる。聴力低
下量は暴露量で説明できるが,個人差がある。聴力低下量の個人差
は,暴露量よりも内耳の保護機能の個人差で説明できる。よって保
護機能から音楽家の騒音性難聴のリスクを評価できる可能性がある
,という音楽演奏する人全員に関わる興味深い内容でした。
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「ビギナーズセッション報告」
今回も多くの聴取者が参加され,大盛況でした。回収したアンケー
トからいくつか抜粋してご報告したいと思います。
「参加したきっかけ・面白かった話」
・研究者のお話を聞きたくて,参加しました。大学・企業の研究者
のいろいろな話がおもしろかったです
・自分の興味の幅を広げたかったから
・研究者として働くことについて様々な話が聞けてよかった
・宮崎先生の質問「アカデミックか企業か?」に対する三名の回答
が三者三様で面白かったです
・ポスターが貼ってあったので。ヤマハに興味があるので,内部の
詳しい話を聞けてよかった
・教員・研究員・企業の研究員の方々が何を考えられているか知る
ことができて面白かった
・自分のキャリアパスの参考になりました
「取り上げてほしいQ・イベント」
・心理評価実験の手法,実験する上での注意点など,信号処理関連
の話が聞きたいです
・なぜHMMが流行し,MFCCが良いのか?の歴史
・ハニング窓など。Z変換
・もっとえらい人は何を考えているのでしょうか?知りたいと思い
ます
・音の非線形性について教えてほしいです
・DNNとは。簡単なDNNのシステム紹介
・主観評価の方法を教えてください
この他にも様々なご意見をいただけました。今後のビギナーズセミナ
ーでも,アンケートを参考にしてセッションに反映していけたらと思
います。
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SIGMUS開催報告
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毎年5月頃に開催されている情報処理学会の音楽情報科学研究会「
音学シンポジウム」に今年も参加してきました。音学シンポジウム
の特徴は「音・聴覚・言語に関係するあらゆる研究分野がターゲッ
ト」,「シングルトラックで進行するシンポジウム形式」の2点が
挙げられます。春と秋に開催される音響学会の総合大会とは異なり
,分野の垣根を越えていろいろな方の発表を見て交流できるシステ
ムになっています。さらに,招待講演はニコニコ動画を通して生中
継される点も大きな特徴といえます。今年は電通大で開催され,私
はポスター発表を行いましたが,別の分野で研究されている方から
,同じ分野の非常に専門的な方まで,いろんな方に話を聞いていた
だけました。音楽情報科学研究会ではありますが,音学シンポジウ
ムは普段音響学会に参加されている音楽に関係の無い研究をされて
いる方々も気軽に参加できると思います。また,学生の参加費が無
料という理由もあって,学部生,博士前期課程学生等の勉強の場と
しても非常にフィットしているかと思います。来年度の開催がとて
も楽しみですね。(北村・総研大)
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今回,初めて「音学シンポジウム」に参加しました。招待講演の方
々は開催者が謳ったように超豪華で,一時も聴き漏らす事の出来な
いくらい充実していました。また,ポスターセッションでは,春/
秋の音響学会では分野の違いから,あまり聴く事の出来ない発表も
聴く事が出来て大変刺激的な2日間でした。私の所属している研究
室では,学部生と一緒に総出で参加したのですが,初の会議(シン
ポジウム)参加であり,新鮮で楽しかったという声が届いています
。まだ研究を始めたばかりの学生達にもとてもいい企画だと思いま
す。来年も盛り上がるといいですね。(濱田・明治大)
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ICASSP & AES体験記
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○北村大地(総合研究大学院大学)
オーストラリアのブリスベンで開催されたICASSP2015に参加し発表
してきました。南半球は初めてで,SPF50で挑みましたが,ICASSP
開催期間中は気温も上がらず半袖では寒いほどでした。ICASSPは音
響信号処理分野のフラッグシップ会議であり,今回も1000件を超え
る発表がありました。今年はスマホ用のアプリがマイクロソフトか
ら提供され,聴講する発表のスケジュールが非常に組みやすかった
と思います。大きな会議ならではの面白いシステムですね。私は音
源分離技術に関するポスター発表でしたが,ポスター会場が超満員
で2時間しゃべりっぱなしになってしまいました。なかでも,同じ
分野の有名人に聞いてもらえ,議論できたことはとても意義があっ
たと思います。ブリスベンという都市に関しては何も言わないこと
にしておきます。来年は中国の上海ですね。論文締切と開催自体が
例年より早いので注意です(旅費が今年度予算になってしまいます
!)。
○石田舞(東京藝術大学大学院)
私は5月7日から10日まで,ワルシャワで開催されていた138th
AES(AUDIO ENGINEERING SOCIETY)Conventionに参加し
てきました。私は音に包まれた感じという印象と室内音響指標との
関係について発表しました。英語での発表は2回目です。今回は前
回よりも聞き取ってもらいやすい発音で発表したいと思い,発表前
まで出来る限り練習をしました。今回の発表を行う前にフィンランド
の大学を見学した後,ポーランドへ移動したのですが,日本と比べ
気温が低く乾燥していました。喉を痛めやすい環境だったこともあり,
当日は風邪を引いた状態の声で発表をすることになってしまい,もう
少し喉を労るべきだったと思いました。AES Conventionでは様々な
展示や発表,そしてイベントが行われるのですが,私はAES Student
partyにも参加しました。私は初めての参加でしたが,何度も参加
されている方々は以前知り合った学生さんと久しぶりに会ってお話
をするなど,みんな楽しそうで,大変賑やかなパーティーでした。
世界にはこんなにオーディオに携わる学生さんがいるのかと身を持
って体験することができました。
○村田直毅(東京大学)
私は,2015年4月にオーストラリアのブリスベンで開催された国際
信号処理学会ICASSP2015に参加してきました。ICASSPは世界最大規
模の信号処理に関する学会です。この会議において,ポスターセッ
ションでの発表を行ってきました。自身として初の海外であり,パ
スポートを取得する所から始まった今回の会議でした。ブリスベン
は当時丁度夏から秋に変わっていく時期であり,非常に過ごしやす
い気候でした。町並みは特にどこに似ていると比較することはでき
ませんでしたが,日本とは全然違いました。会場となったBrisbane
Convention & Exhibition Centreは,同時に別のイベントも行われ
るほど大きい会場で,スケールの大きさを実感しました。
ブリスベンの感想を述べます。まず1つ目は,きれい。街の規模自
体はそれほど大きくないですが,一つ一つのビルがカッコよく,夜
景が非常に綺麗でした。2つ目は,店が閉まるのが早い。普通の飲
食店は19時には閉まり,残りはバーとハンバーガー屋くらいしか開
いていません。悪く言えば不便ですが,さっさと帰って家族を大事
にするという国民性が現れているのでしょう。大事なことです。
ICASSPとあって,非常に多くの参加者がおり,どのセッションでも
多くの聴講者がありましたが,特にDeepLearning系のセッションに
おいては大盛況となっておりました。私自身の発表は,空間音響の
セッションで,バンケットの翌朝,会議最終日の朝8:30にも関わら
ず,多数の方がいらっしゃいました。初めての会議での発表で,前
日は眠れずスクリプトを空で言えるように何度も何度も練習したお
かげか,あまり詰まらず説明できたかと思います。ただ議論となる
と自分の英語の拙さが目立ってしまい,歯がゆい思いをしました。
今回の経験を通して,自分の未熟さを実感したと同時に,これから
の研究生活のモチベーションも同時に得ました。次は更に成長して
このような場に戻ってきたいと思います。
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研究のデモページ紹介
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こんにちは。またまた総研大の北村です。さて,今回は新しい企画
として,「研究のデモページ紹介」というのを掲載してみます。研
究活動で最も重要な事といえば,アウトプットです。発表をするこ
と,論文を書くこと,商品になること等が挙げられます。この企画
では,そんなアウトプットの一つ「研究のデモンストレーション」
を紹介したいと思います。その分野に詳しく無い方や勉強中の学生
等に見ていただいて興味を持ってもらうのがこの企画の狙いです。
単純に研究のデモは見ていて楽しいということもありますが…。
さて,私の研究の専門は,混ざった音を分ける音源分離という技術
です。なので,初回は音源分離技術のデモを紹介していきたいと思
います。
まず最初は,音源分離の基礎ともいえる独立成分分析(ICA)を用
いたデモです。国立情報学研の小野順貴准教授の紹介ページから拝
借しております。
URL: http://www.onn.nii.ac.jp/demo_iphoneBSS.html
上記のデモでは,ICAのさらに応用である独立ベクトル分析(IVA)
という技術をiPhoneに実装しています。小型端末への実装は計算性
能等が問題となりますが,現在はスマホの計算能力が向上したこと
もあり,このような実装も可能となってきました。
次は,近年盛んになってきたInformedな音源分離です。音源分離を
達成する為に何か事前情報を用いる手法です。例えばユーザからの
アノテーションなどが現実的です。イリノイ大学のP. Smaragdis先
生のデモページから拝借しております。
URL: http://paris.cs.illinois.edu/demos/ai/user-guide.mp4
ご覧になれば分かると思いますが,分離したい音源をユーザが声や
鼻歌で指定しています。このような情報は非常に強力であり,従来
のICA等では不可能であったモノラル信号からの音源分離なども可
能となってきます。ちなみに,Smaragdis先生のその他のデモは下
記からご覧になれます。
URL: http://paris.cs.illinois.edu/demos/index.html
最後に,宣伝になってしまいますが,私もいくつかのデモをHPで紹
介しています。下記は教師有り非負値行列因子分解(NMF)という
技術を用いた音源分離のデモになります。
URL: http://d-kitamura.sakura.ne.jp/demo_hybrid.htm
教師有り音源分離は,前述のInformed音源分離の極端な場合で,分
離対象のサンプル音源を使っちゃいます。その情報から,同じ音色
を持つ音を分離する手法です。その他のデモは下記からご覧になれ
ます。
URL: http://d-kitamura.sakura.ne.jp/demo.htm
いかがでしたか?音源分離がどういった技術かなんとなくご理解い
ただけたかと思います。今後もいろんな技術のデモを(何らかの形
で)紹介していく予定ですので,楽しみにしてくださいね。
(北村・総研大)
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本・参考書の紹介
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今回,研究のデモページ紹介と共に新しい企画として,「本・参考
書の紹介」というものも加えてみました。研究を始めたばかりの方
や,これから勉強したいと思っている方などを対象に,研究者達は
どんな本を参考にしているかを紹介していきたいと思っています。
初回は私の所属していた研究室のゼミで参考にしていた3つの本を
紹介します。主に音声/聴覚の分野になります。
1.「聴覚心理学概論」B.C.J.ムーア 著 大串健吾 監訳
聴覚系の構造・機能から音の知覚を網羅的にカバーしている超良書
です。「SIGMUS開催報告」で取り上げた音学シンポジウムでもご講
演されていた大串健吾先生が監訳を務めています。私が最初に触れ
た音知覚の本なのですが,音をどうやって知覚しているのか,とい
う事に関して緻密な心理実験や生理学の知見から考察を重ねており
奥深さを感じると同時に大変勉強になっています(現在進行形)。
2.「ディジタル音声処理」 古井貞煕 著
出版されたのは1985年と少し古いですが(なんと30年前!),音声
処理の基礎を学べるいい本です。音声に関する技術が詰まって
おり,とても参考になります。古井先生の最近の書籍ももちろん参
考になりますので,そちらを読んでみても良いと思います。
3.「ディジタル・サウンド処理入門 -音のプログラミングと
MATLAB(Octave・Scilab)における実際」 青木直史 著
音の処理を学べ,プログラムを書き,音が聴けるという何とも有難
い本です。さらに,プログラムのコードもついているので,直ぐに
でも音の信号処理を試せるという,至れり尽くせりな書籍です。因
みに本書はMATLABがベースですが,同著者の「サウンドプログラミ
ング入門-音響合成の基本とC言語による実装」はC言語をベースと
しており,こちらも同じように至れり尽くせりな本なので,楽しく
学べると思います。
今回取り上げた本は基礎を学ぶという事に焦点を当てていたので,
研究者の方々には物足りない紹介だったかもしれませんが,今後は
もっとマニアックな本なども紹介していければと思っています。
(濱田・明治大)
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「博士論文紹介」の宣伝
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
日本音響学会の学会誌では会員への情報提供の一貫として,博士論
文の紹介をしています。音響学に関連する内容の博士論文で,自分
の研究を是非広めたい!というお方は奮ってご応募下さい!
応募条件:原則として日本音響学会会員である主査の推薦によるも
のとします。主査以外の推薦による場合は,主査,副査の氏名を明
記してください。掲載の可否の判断は編集委員会で行います。
分野:日本音響学会のカバーする分野及び関連分野
博士論文の取得時期:過去3年以内のもの
掲載料:無料
掲載内容:論文名,氏名(英文),論文内容,関連論文,学位,取
得時期,連絡先(住所,電話,Fax,電子メールアドレスなど)を
1件当たり1/4ページに掲載
提出資料:上記内容を24字×20行(最大)にまとめたもの,主査,
副査の氏名,学位記のコピー又は学位授与証明
送付先:〒101-0021 千代田区外神田2-18-20 ナカウラ第5 ビル
社団法人日本音響学会編集委員会
その他:掲載後の会員からの問い合わせに関しましては,個人で対
応して下さい。掲載文はできるだけ電子メールでお送り下さい。体
裁等は63巻9号568ページをご参照下さい。
事務局e-mail: LEJ02517@nifty.ne.jp,Tel. 03-5256-1020
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編集後記
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春になり,新しく大学院生になられた方,研究員や教員になられた
方,又は企業に就職された方,様々いる事と思います。私も新天
地に赴きただ今奮闘しているところです。さて,今回も体験記等色
々な方々に協力していただき,有難うございました。今後も役に立
つ情報をどんどん提供していきたいと思っておりますので,引き続
き宜しくお願いします。(濱田)
今回は新しい企画として研究デモ紹介を掲載してみました。いかが
でしたか?私も自分が普段関わらない研究分野のデモには非常に関
心がありますので,「こんなのあるよ!」とか「こんなの公開しま
したよ!」とかありましたら個人的に教えていただけると助かりま
す。本メルマガでもどんどん情報共有していきたいと思いますので
よろしくお願いいたします!(北村)
今回のメルマガには,体験記や面白かった発表など,発表された方
や発表を聞かれた方のお話が沢山ありました。今回私は,得意では
ない英語での発表だったので,とにかく伝わる事を目標に準備をし
ていましたが,メルマガを作成していて,次は英語での発表でも興
味を持ってもらえるよう心がけたいなぁと思いました。今回のメル
マガから新たな興味を持っていただけたら嬉しいなと思いました!
(石田)
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