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日本音響学会 学生・若手フォーラム
メールマガジン第19号
2015年03月13日 発行
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- ●┣━━━ 目 次 ━━━┫●●
◆フォーラムNews!
◆2015年春季研究発表会特別企画
「音響学シンポジウム“いい音を作る”」
◆ビギナーズセミナー開催
◆春季研究発表会の「注目したい発表」
◆編集後記
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フォーラムNews!
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こんにちは。総合研究大学院大学博士課程1年の北村大地です。修士の
時は奈良先端科学技術大学院大学で音源分離(いろんな音が混ざった信号
から個々の音源を分離する技術)について研究していました。現在は総研
大という誰も知らない?大学で同じ研究をしています。しかし,総研大が
あまりにもマイナ-でよく「どこそれ?」と聞かれてしまうので,今回は
この場をお借りして総研大について説明させていただきます。
総研大は極めてバーチャルな大学院大学(学部を持たない大学)で,本
校キャンパスは神奈川の葉山にあります。ものすごい田舎です。しかしほ
とんどの学生は葉山ではなく,各地にある国立研究機関で指導者の下で研
究し博士号取得を目指します。例えば私のように情報系であれば,東京千
代田区にある国立情報学研究所に通います。他には国立天文台,宇宙科学
研究所,統計数理研究所,国立極地研究所,国立民俗学博物館,核融合科
学研究所などなど,学科・専攻によって様々です。さらにはハワイのすば
る望遠鏡やチリの国立天文台チリ観測所,南極の昭和基地なども含まれま
す。これらの機関は総研大の研究協力機関と呼ばれ,総研大学生の研究・
教育を委託している形になります。
総研大の特徴はもう一つあります。それは外国人留学生の多さです。総
研大は5年一貫制博士課程しかなく,修士での卒業は基本的に認められま
せん。私のように修士を取得した学生は5年一貫制博士課程の3年次編入
という形になります。このような編入学生は日本人が多いですが,5年一
貫制の1年次に入学する学生はほぼ100%外国人留学生です。また,各
研究機関も外国人インターン等を多く受け入れていますので,実際に研究
する環境では,周りの人間はほぼ外国人です。日本人が逆にアウェーなの
です。
長々と書いてしまいましたが,学会等で総研大の方を見つけたら非常に
レアな生き物ですので「ラッキー」と思っていただければ私は幸いです。
北村大地 (総研大)
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2015年春季研究発表会特別企画
「音響学シンポジウム“いい音を作る”」
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2015年秋季研究発表会では,特別企画として「音響学シンポジウム ”
いい音を作る”」が開催されます。日程及び会場は下記の通りです。発
表会前日の日曜日に開催されることにご注意ください。参加費は無料で
事前申込も不要です。また,学会員以外にも音響学に興味がある方は参
加出来ますので是非ご確認ください。
日時: 2015年3月15日(日) 12:30~18:10 [研究発表会 前日]
会場: 中央大学後楽園キャンパス5号館2階5234教室
(以下敬称を省略させていただきます)
12:30-12:40
開会挨拶
12:40-13:15
音声認識にとっての悪い音声の克服史 中川聖一(豊橋技術科学大学)
13:15-13:50
音声合成で良い音を作る! 山岸順一(国立情報学研究所)
14:05-14:40
聴覚と身体の潜在的結合 柏野牧夫(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
14:40-15:15
マイクロホンアレイ信号処理の非同期分散録音への展開 小野順貴(国立情報学研究所)
15:30-16:05
「いい音」から「いい音楽」へ 山田真司(金沢工業大学)
16:05-16:40
音楽の生成と理解 + Rencon の概要紹介 片寄晴弘(関西学院大学)
16:55-17:30
いい音・いい響きの工学的な再生と芸術的な創造 尾本章(九州大学)
17:30-18:05
製品のサウンドデザインによる機能的な環境の創造 戸井武司(中央大学)
18:05-18:10
閉会挨拶
より詳しい概要は下記のURLからご覧になれます。
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ビギナーズセミナー開催
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日本音響学会2015年春季研究発表会第1日目に,学生や新入社員な
ど,新たに音響研究分野に入ってこられた方を対象としたビギナーズセ
ミナーが開催されます!今回のテーマは「プロフェッショナル研究者の
意外と知られていない日常」です。音響研究分野への若手参入を促進す
るため,研究を職業としている諸先輩方から具体的な経験談等を紹介し
ていただきます。併せて,音響学入門ペディアの紹介も行われます。参
加費は無料ですが,原則として事前に申し込みをお願いします。ご興味
がある方は是非お越し下さい!
開催日時
平成27年3月16日(月)16:30~18:00[研究発表会第1日目]
会場
中央大学後楽園キャンパス5号館3階5333教室(第5会場)
プログラム
○「ビギナーズセミナー開会の挨拶」
猿渡洋(東京大学/活性化・若手育成委員長)
○「大学で働く研究者」
北原鉄朗(日本大学)
○「公的研究機関で働く研究者」
添田喜治(産業技術総合研究所)
○「企業で働く研究者」
奥村啓(ヤマハ(株))
○質疑応答・フリーディスカッション
○「音響学入門ペディアの紹介」
・畳み込みってなんですか?
宮崎亮一(徳山工業高等専門学校)
・加工された音は戻せますか?
丸井淳史(東京藝術大学)
詳しいプログラムや事前申込方法等はこちら
を御覧ください。
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春季研究発表会の「注目したい発表」
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毎年春と秋に開催される研究発表会ですが,非常に多くの件数が一度に
集まりますので,どれを聴講するか迷ってしまいますよね!今回も業界
を良く知る方々に「注目したい発表」を紹介していただきましたので,
是非参考にしてみてください.
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樋田 浩一 (明治大学理工学研究科・D1)
私は聴覚の研究をしていますが,建築音響の研究室に在籍しています。
以前に音響設計コンペに参加したこともあり,いい音・いい響きの空間
を作るにはどのようにすればいいかという点にとても興味を持ってお
り,今回の研究発表会では,次の発表に注目しています。
1-R-2 暗騒音・平均吸音率の変化と会議室の会話タスクにおける主観評
価得点の単純集計結果 -「打ち合わせのしやすさ」に関する主観評価
実験(2)-
☆日根野 翔太(東京工業大),加藤 洋介,八木 佳子(イトーキ・Ud&Eco
研究開発室),清水 寧(東京工業大)
ミーティングをする際など,部屋が静か過ぎると発言しづらい雰囲気に
なってしまうことは多々あると思いますが,暗騒音と平均吸音率に着目
し,実験的に検討されている点が気になります。
1-R-7 ポーランド国立歌劇場の音場支援システム
○渡辺 隆行,宮崎 秀生,佐原 伸一,池田 雅弘(ヤマハ),バッカー・
ロン(Yamaha Commercial Audio Systems Europe)
Forum Acusticumで去年ポーランドに行った方もいると思いますが,国
立歌劇場にはAFC(Active Field Control)システムが使われているとの
ことで,馬蹄型の大規模な空間に対してどのようなアプローチをされた
のか気になります。
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小橋 宏紀 (明治大学大学院理工学研究科・M1)
私は,音場再現システムの性能評価に関する研究をしています。中で
も,聴感印象評価に関する研究をしているので,以下の発表に大変興味
があります。
2-P-1 周波数帯域幅が音像の絶対的な幅に与える影響
☆山﨑 恒平(信州大院・工),大谷 真(京都大院・工学研),豊田 政弘
(関西大・都市環境工),橋本 昌巳,香山 瑞恵(信州大・工)
音場再現に関する研究に身をおいて2年になりますが,まだまだ私は勉
強が足りません。周波数帯域幅と音像定位の関係について,勉強させて
いただきたいと考えております。
2-P-44 立体音場再生における聴取者の望む受聴位置の効率的な探索手
法の検討
☆大谷 健登(名大),丹羽 健太(NTT),武田 一哉(名大)
聴取者が好む音を探索する主観評価実験は,どのような手法をとるのが
最適なのか。この頃,私はそのようなことで頭がいっぱいです。どのよ
うな手法で検討されたか,すごく気になります。
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北条 伸克 (NTT)
私は,テキスト音声合成の研究を行っています。今回の発表では,次の
セッションに注目しています。
スペシャルセッション 聴覚/音声 [音声知覚実験とその手法 -パター
ンプレイバックからSTRAIGHTまで- ]
人間はどのように音声を知覚しているのかを理解し,それを工学的に応
用するためには,音声の分析合成の技術が欠かせず,またこの分野はこ
れまで日本人が活躍し,成功してきた分野でもあります。
このセッションでは,音声の分析合成手法において,最も有名である
STRAIGHTについて理解し,その使われ方や先端研究の動向について知る
ことができるのではないかと期待しています。
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N氏 (大学生)
今回のポスター発表ではじめてイベントに参加します。
主に音声分野に興味があり,話者照合のための耐雑音性に関する研究を
しています。今回の発表では以下の発表に注目しています。
2-1-1 MFCC 領域におけるGMM 事後確率を用いたNMF による
雑音環境下音声認識
☆藤垣 健太郎,柏木 陽佑,齋藤 大輔,峯松 信明,広瀬 啓吉(東大)
自分はまだ研究をはじめたばかりの学生なので,他の学生がどのような
研究をしているのかが気になりました。その中でも耐雑音性に関する
研究は,自分の研究にも応用できる部分があるのではないかと思います。
1-R-29 日本人による英語歌唱音声の発音評価システムの構築
☆吉田 一道,能勢 隆,伊藤 彰則(東北大)
発表題目を見て,日本人の英語の発音評価について考えたこともなかった
ので,どのようなことをしているのか興味があります。
2-1-11 複数のAndroid 端末を用いた議事録作成支援システムの試作
☆清水 陽平,西崎 博光(山梨大院)
2-1-14 スマホを用いた環境音認識アプリに対するDNN の導入
☆松山 みのり,西村 竜一,河原 英紀(和歌山大),△山田 順之介(NTT),
入野 俊夫(和歌山大)
議事録作成支援システムも,環境音認識アプリも,携帯端末を使用している
ので気になりました。また,それぞれがどのようにして認識を行っているの
かも知りたいと思いました。
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編 集 後 記
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今回は春季研究会間近という事で,関連する記事を集めました。人そ
れぞれで注目したい発表は異なると思いますが,参考になればと思いま
す。また,音響学会のツイッターでは,ハッシュダグ (#asj2015s) が
用いられています。情報を共有し,盛り上げていきましょう!(濱田)
毎度のことですが,音響学会の研究発表会は体力勝負なのです。発表?
いえいえ,飲み会のことですよ!同じ分野で交流できる良い機会ですの
で,皆様も積極的にお酒をじゃぶじゃぶ,親睦を深めましょう。但し,
未成年の学生はジュースをじゃぶじゃぶです。(北村)
いよいよ3月16日から日本音響学会2015年春季研究発表会が始まりま
すね!3月は卒業でお別れがあったり寂しい季節でもありますが,音響
学会などで新しい出会いや発見があったり,とてもワクワクする季節だ
と思います!今年も楽しみましょう!!!そんな春になるといいなと思
いました!(石田)
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