国際学会体験記 -ICAD’08 及びAcoustics’08 Paris- / 大谷 真(東北大学電気通信研究所)

イベント

Conference Information:

International Conference on Auditory Display’07 (ICAD08), June 24-27, 2008. (Paris, France)
Acoustics’08, June 29 – July 4, 2008. (Paris, France)

共にフランス・パリにて開催された聴覚ディスプレイに関する国際会議ICAD08(International Conference on Auditory Display’08 Paris,2008年6月24~27日)と米国音響学会(ASA)とヨーロッパ音響学連合(EAA)の共催によるAcoustics’08 Paris(2008年6月29日~7月4日)に参加した。
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 ICAD08はIRCAM(音響音楽研究所: Institut de Recherche et Coordination Acoustique/Musique)で開催された。IRCAMは国立近代美術館が有名なポンピドゥー・センター(Centre Pompidou)が管轄する研究所であり,パリのほぼ中心でアートに囲まれた素晴らしい立地であった。また,研究所自体もノイズを極力減じるために主要な施設が地下に設けられているという徹底した遮音対策が施されており,会場自体も興味深い会議であった。
 
 肝心の会議の内容であるが、自分の専門分野がいわゆる空間音響/立体音響であるため,聴覚ディスプレイという単語からは3次元的に音響情報を呈示するヴァーチャル・リアリティ(VR)的なものを思い浮かべてしまうのだが,ICADは(もちろんVR的聴覚ディスプレイに関するセッションも多数あったが)聴覚情報を使ったインターフェイス全般に関する会議であり,広範な意味での「聴覚ディスプレイ(auditory display)」に関する講演が多く行われていた。
 
 ICADは比較的規模の小さい専門的な会議であり,全ての講演がシリアルセッションで構成されている。そのため,(同じ聴覚ディスプレイというカテゴリーの範疇とはいえ)自分の専門とは微妙に異なるセッションを聴講する機会が多く,これまで馴染みは薄かったが関連の深い研究分野に触れることで大いに刺激を受けることができた。もちろんVR的聴覚ディスプレイに関する発表も数多くあり,小規模の会議らしくリラックスした雰囲気の中じっくりと情報収集と議論を行うことができた。聴覚ディスプレイが専門であるにも関わらず初めてこの会議に参加したが,これからも定期的に参加したい会議であった。なお,バンケットは個人旅行では絶対に行かないであろうセーヌ川クルーズで,美しいパリの夜景を堪能できる素晴らしい体験であった。
 
 続いて,ICADと一日の間を空けてPalais des Congres de Parisにて開催されたAcoustics’08 Parisは,ASAとEAAの共催による音響学全般に関する国際会議ということで,ICADとは打って変わって大規模な国際会議である。ASAとEAAの共催ではあるが米国と欧州以外からの参加者も多く,各セッション会
場で活発な議論が繰り広げられていた。多くのオーラルセッションで立ち見が続出し,ポスターセッションにおいても歩き進むことにさえ四苦八苦するなど,文字通り熱気が充満する会場であった(ポスターセッションでは通路を会場として利用していたため単純に狭かった,という理由もあるが)。 今回の2つの会議では諸事情により自らの発表は申し込まなかったが、所属研究室からの他の参加者のポスター発表の手伝いなどをした。ポスターセッションの開始から終了まで引切り無しに聴講者が訪れ,有益な議論・情報交換を行うことができた。今回は情報収集を主目的とした参加であったが、上記のような大盛況ぶりを見ているとやはりICADにもAcousticsにも自らの発表を申し込んでおけばよかった,ただ聞いているだけではつまらない,と悔しい思いをした。しかし,逆に今後の研究へのモチベーションを高めることができ,決意を新たにして帰国した次第である。

2009.6.4 大谷 真(東北大学電気通信研究所)

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