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日本音響学会 学生・若手フォーラム
ASJ Freshニュース 第72号
2020年6月24日 発行
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*♪*━━━━* 目 次 *━━━━*♪*
◆ ICASSP 2020 参加報告
◆ AES Virtual Vienna 2020参加報告
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緊急事態宣言が解除されましたが,まだまだ気を緩めることができませんね。COVID-19 の影響で,国内外の学術会議のほとんどがオンライン開催の形式になっています。
そこで,今月号では,先月オンラインで開催された国際会議 International Conference on Acoustics, Speech, and Signal Processing 2020 (ICASSP 2020) と 148th AES International Convention Audio Engineering Society (AES Vienna 2020) の参加報告をお届けします。
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ICASSP 2020 参加報告
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1.はじめに
ICASSP2020 に参加させていただいた徳山高専の河中です。ICASSP2020 は,COVID-19 の影響でオンライン開催となりました。オンライン開催の学会は初めてで色々大変な部分もありましたがとても有意義な時間を過ごすことができました。
- ICASSP 2020 Portal Site: https://2020.ieeeicassp.org/
- ICASSP 2020 Proceedings: https://ieeexplore.ieee.org/xpl/conhome/9040208/proceeding
2.研究内容
今回の論文は,NTTメディアインテリジェンス研究所のインターンシップに参加させていただいた際の研究成果です。メンターとして,学生・若手フォーラム代表の小泉さんにやっていただきました。研究内容の詳細としては,PESQ などの知覚に基づく客観音質評価を DNN の目的関数に使用した手法の安定学習法の提案です。
3.動画作成
今回は,オンライン開催のため動画作成を行う必要がありました。当初はポスター発表の予定でしたが,動画作成はポスター形式ではなく,スライド形式で行いました。実際の発表と違って自分が納得するまで音声を取り直せることは良かったです。また,私自身がアパートに住んでおり,静かな録音環境を用意することが大変でした。
4.実際に参加してみて
発表の聴講については,聞き取れなかった部分や理解できなかった部分を繰り返し聴き直すことができる点はとても助かりました。また,自分の発表においてもリアルタイムでの質疑応答はなく,質問フォームに質問が来たら72時間以内に回答する方式でした。そのため,発表時による遅くまで起きておく必要等はありませんでした。
5.感想
オンライン開催になった影響でバルセロナには行くことはできませんでした。初めての海外になる予定で,パスポートや飛行機などの予約などをやっていたので少しショックでした。しかし,学会はとても有意義な時間を過ごすことができました。また参加できるようにしっかりと研究したいと思います。
(徳山工業高等専門学校 情報電子工学専攻 河中昌樹)
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AES Virtual Vienna 2020 参加報告
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1.はじめに
AES(Audio Engineering Society) ConventionはAES主催の年に2回開催し,プロオーディオやエンジニアリングを中心とした国際会議です。第148回目のAES Vienna 2020では,COVID-19の影響を受け,6月2日から5日にオンラインで開催されました。会議はCadmiumというオンラインカンファレンスのシステムで行われ,リアルタイム,オンデマンド,ポスター発表を含め,計177件の発表がありました。
- AES Vienna 2020 Portal Site: https://www.eventscribe.com/2020/VirtualVienna/
- AES Vienna 2020 Proceedings: http://www.aes.org/e-lib/online/search.cfm?type=preprint&title=&convnum=148
2.AESについて
AES(ホームページ)は1948年アメリカで設立された音響分野の学会であり,ASA(Acoustical Society of America,アメリカ音響学会)と異なって,音の再生や録音,プロオーディオに関する分野を中心としています。学会のイベントとして年に2回 Convention が行われ,おおよそ春の3-5月にヨーロッパ,秋の10月にアメリカ・ニューヨークで開催されます。それと別で不定期の Conference も年に数回行われます。さらに Workshop, Academy Event も時々開催されます。イベントの他に,Journal of the Audio Engineering Society というジャーナルも出版しています。こちらの論文誌に掲載された論文と AES Convention や Conference に発表された原稿は AES E-library で閲覧できます(有料,会員は無料)。
また,AES 日本支部では,AES 日本支部例会やAES基礎音響セミナーなどのイベントも開催されています。AES 日本支部の詳細については,こちらのホームページをご覧ください。
3.発表について
まず,今回私が参加した Convention の投稿について少し紹介したいと思います。AES の Convention やConference では,招待講演などを除いた一般投稿を3つのカテゴリーに分けています。Category 1 はフルペーパー査読付き,Category 2 は AbstractとPrécis(500~750 wordsの概要)の査読付き,Category 3 は査読なしの投稿となります。Category 1と Category 2 は Paper として採録されますが,Category 3 は E-Brief というジャンルに分類されます。今回の私の発表もそうですが,Category 1 と大した差がなことと,比較的採択されやすいことの2点で,個人的には Category 2 をおすすめします。Category 1 と Category 2 の投稿締切りは発表の約4ヶ月前なので,もし発表する予定があれば早めに準備しておいたほうがいいと思います。
さて,ここからは今回の AES Virtual Vienna の参加報告となります。今年COVID-19 の影響で,5月オーストリアで開催される予定の AES Vienna 2020 が6月に延期され,さらにオンライン開催の形式となりました。発表の形式はリアルタイムの発表,オンデマンドの口頭発表,ポスター発表の3種類となります。リアルタイムの発表は全部口頭発表で,実際生配信のような感じで行われ,質問はチャット欄に送って,発表の最後に順番に答える形式でした。オンデマンドの口頭発表やポスター発表は,発表のスライドやポスターに音声が付けられているような形式でした。
私は初めてオンラインの国際会議に参加するので,時差やオンラインの英語コミュニケーションなどにすごく不安を感じました。一方で,学会は日本と13時間の時差の EDT で開催され,私の発表や私が聞きたい発表は全部オンデマンドとなりましたので,時差の問題は感じていませんでした。私は2年前ニューヨークで開催された145回目の AES Convention も参加していましたが,個人的に今回のオンラインの Convention は,質問や討論などのコミュニケーションが若干しづらいのと,自宅で聴講するときはやはり少し集中するのが難しいと感じました。前回ニューヨークのときは海外の研究者や企業の方々と交流できたのですが,今回は一言も喋らずに終わってしまいましたので少し残念でした。また,今回の私の発表への質問にはありませんでしたが,前回の質問応答では,聴講者の方々は手法の実用性や受聴実験の結果をかなり重視している印象でした。
4.おわりに
149回目の AES New York 2020 もオンラインで開催される可能性もかなり高くなっています。残念ながらこちらの投稿はすでに締め切られましたが,海外発表を体験したい,または海外の企業と交流したい方は,一度 AES の Convention や Conference に投稿してはみていかがでしょうか。
(電気通信大学 任逸)