ASJ Freshニュース 第78号(2020年12月25日号)

◆ Interspeech2020音声読み会 参加報告
◆ AESジャパンフォーラム2020 参加報告

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日本音響学会 学生・若手フォーラム
ASJ Freshニュース 第78号
2020年12月25日 発行
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はじめに

メリークリスマス!今年もあっという間に過ぎてしまいましたね.
昨年の今頃は世界がこんなことになるとは,よもやよもや思いもしませんでした.
今年度の卒業生の方は卒論・修論・博論執筆のラストスパート頑張ってください!

今月号は,先月開催されたInterspeech2020音声読み会とAESジャパンフォーラム2020の参加報告です.
共にオンライン開催となり,昨年とは一味違ったイベントとなったようです.
興味を持った方は来年参加してみてはいかがでしょうか?

♪*♪*♪━━━━━━━━━━━━━━━━━ Interspeech2020音声読み会 参加報告 ━━━━━━━━━━━━━━━━━♪*♪*♪

1.はじめに

北陸先端科学技術大学院大学修士1年の高橋です.赤木研究室にて,音声感情認識の研究をしています.
この度,2020年11月20日に開催されたInterspeech2020音声読み会の参加報告をこちらに投稿させていただくことになりました(私は発表はしていません).
昨今の事情もありzoomによる全面オンライン開催となりました.

2.全体の雰囲気

司会の方のファシリテーションのもと,各自Interspeech 2020で発表された論文を紹介するスタイルでした.
参加者,発表者については,学生,先生をはじめとして企業の研究者の方もいらっしゃっており,幅広い層が集まりながらも,音声或いは機械学習の研究開発に携わる一研究者として有意義で闊達な議論が行われていました.
発表直後に質問に対する回答時間が設けられ,その場で答えられるものについてはその場で答え,検討に時間が必要なものや,時間内に収まらなかったものは,発表の後でも受け付けて,その後回答していただけるシステムがありました.そのおかげで時間的制約に縛られずに質疑応答を行うことができたのはとても良かったです.

3.良かった点

原著に書かれているネイティブの英語で理解することがもちろん大事ではありますが,やはり自分の母語(日本語)で説明を受けることにより理解する速度・深度が高いため,このように権威ある学会の論文を日本語で輪読を行うことは私にとってとても有意義な会でした.また,論文では読み取れなかった行間や隠れたモチベーションなども,有識者へ質問して聴けることも良かったですし,音声系の論文なので,実際に発表者が鳴らした音を聞きながら拝聴することで,納得感が大きく向上しました.
私は音声感情認識を研究しており,今回の発表では感情にフォーカスした論文の紹介はありませんでしたが,他のタスクでも,例えばControllable neural text-to-speech synthesis using intuitive prosodic featuresで紹介されていた韻律の潜在空間の学習(表現学習)などはアイディアとして興味深く,自身でも一度追試したいと思いました.

4.まとめ

研究室,会社を横断した論文輪読は勉強になることはもちろん,大学間・会社間の交流を深めるきっかけにもなるので,是非今後も開催されたら参加したいです.
そしていつかは自分も発表者に回りたいと思います.

(北陸先端科学技術大学院大学 修士1年 高橋達哉)

♪*♪*♪━━━━━━━━━━━━━━━━━ AESジャパンフォーラム2020 参加報告 ━━━━━━━━━━━━━━━━━♪*♪*♪

1. はじめに

AES日本学生支部(https://japan.aes-student.org/wordpress/)支部長、東京藝術大学学部4年の森永実季と申します。今年の11月にAES日本学生支部主催(協力:AES日本支部)で開催された「若手・学生のためのAESジャパンフォーラム2020」への参加報告をさせていただきます。本フォーラムは、日本で音を学ぶ学生たちが自分の研究や制作について発表し、意見交換を行うイベントです。
例年は大学のキャンパスにて、ポスター発表や企業説明会などを開催していましたが、今年は新型コロナウイルスの影響でオンライン開催となりました。

2. 若手・学生のためのAESジャパンフォーラム2020の概要

今回は完全オンラインで、11月18日から23日までオンデマンドの研究・成果発表、11月22日にはオンライン会議システムのZoomを用いた研究・成果発表への質疑応答や意見交換などが行われました。
22日は他にも、“AES日本学生支部の活動紹介プレゼン”や、“特別企画〜日本で音を学ぶ若手・学生のコロナ禍における研究や制作〜”などの催しがありました。

3. 研究・成果発表について

研究・成果発表はYouTube(動画)やDropbox(電子ポスター)を用いて行われました。発表者は動画もしくはポスターを事前に提出し、それをオンデマンド配信しました。発表者は13名の日本の学生でした。例年は対面でのポスター発表でしたが、今年は動画発表もあったことから、実際に音のデモを聞くなど、さまざまな発表スタイルが見られて面白かったです。
また、22日の質疑応答・意見交換では、Zoomのブレイクアウトルーム機能を用いて、各発表者のルームに参加者が自由に出入りして意見を交わしました。面と向かって対話することはできませんでしたが、オンラインでも熱い議論が行われ盛り上がっていました。

4. 特別企画〜日本で音を学ぶ若手・学生のコロナ禍における研究や制作〜について

今年のフォーラムでは、新しい試みとして日本学生支部の運営メンバーによる特別企画が開催されました。特に2020年は、新型コロナウイルス感染拡大によって、学生の学習環境や生活が大きく変化しました。そこで、日本各地の学生が今年どのような学生生活を送ったのかについて、意見交換をしました。
この企画では、参加者のみなさんへのアンケート調査も行いました。
“大学に行けなくて困っているかどうか”という質問に対して、
「大学の設備が使えなくて困っている」「被験者が必要とされる実験ができなくて困っている」「友達や人との交流が減って困っている」などの回答がありました。また、“授業や会議がオンラインになって、時間に関してどう変化したか”という質問に対しては、「余裕になった」と「きつくなった」という意見がちょうど半分に分かれました。通学時間がなくなって、時間を有効活用できるようになったという人もいれば、オンラインの予定が1日中詰まって疲れてしまうという人もいたようです。
普段知ることのない他大学の学生生活事情を知ることもでき、なかなか貴重な機会であったように思います。

5. おわりに

2020年は、自由に学校へ足を踏み入れることも難しく、多くの学生たちにとってもどかしい1年であったように思います。そんな中でも、AES日本学生支部、そしてAES日本支部のみなさまのご協力のもと、総勢約50名の方にご参加いただき、無事にフォーラムを開催することができました。少しでも学生のみなさまの糧になる意見交流の場になっていたら良いなと思います。来年は現地開催できますように。

(東京藝術大学 音楽学部 音楽環境創造科 学部4年 森永実季)

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