◆ SIGGRAPH2023参加報告
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日本音響学会 学生・若手フォーラム
ASJ Freshニュース 第111号
2023年12月1日 発行
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みなさんこんにちは!11月に入り一気に冷え込みましたがいかがお過ごしでしょうか. 今月号のASJ Freshニュースは,8月にアメリカのロサンゼルスで開催された国際会議SIGGRAPH2023の参加報告です!
国際会議SIGGRAPH2023参加報告
はじめに
若手フォーラム,コンテンツ班の内田彩芽です.
2023年8月6日-10日にアメリカのロサンゼルスで開催されたSIGGRAPH2023に参加してきました.SIGGRAPHは毎年夏にアメリカ,カナダ周辺で開催されている,コンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術に関する研究が集まる世界最大の国際会議です.研究発表はもちろん,世界各地から集まった企業による技術展示や個人制作による映像作品の上映も行われるなど,お祭り的な側面もある楽しい学会です.音響分野の研究をしているとあまり参加する機会もないと思うので,他分野の国際会議の雰囲気をお伝えできればと思います.
会議の様子
本会議は,ロサンゼルスコンベンションセンターにて対面発表という形式で行われました.特にロサンゼルスでの対面開催は2019年以来4年ぶりとのことで,各国から多くの方が参加されていてとても賑やかな雰囲気でした.SIGGRAPHでは全34カテゴリーのプログラムがあり,著名ゲストによる基調講演やCG関連の最新ソフト・ハードウェアが体験できるExhibition,映像作品を上映するElectronic Theaterなど様々な催し物が行われます.特にElectronic Theaterは観客参加型のステージや著作権の関係によりネットで公開できないような映像も含まれており,SIGGRAPHに参加するなら必見のプログラムです.休憩時間にはコーヒーやお菓子が提供され,みなさん一息つきながらも議論や交流が活発に行われていました.私はというと,会場の冷房がかなり効いていて長袖を羽織っていても長時間居座るのは無理なほどだったので,聴講したら外で日向ぼっこして…という風に過ごしていました.
ロサンゼルスの様子
ロサンゼルスは日本に比べて湿気が少なく,気温は高くてもとても過ごしやすい気候でした.街並みは高層ビルやホテルが立ち並んでいる場所もあれば,日本のお店が多くあるリトルトーキョーが近くにあったりして,同じ町の中で様々な文化を感じることができました.また,会場から1時間ほど電車で行くとサンタモニカという海沿いの町があり,夏休み真っ只中ということでビーチにて海水浴を楽しんでいる方が多くいました.ここは,アメリカ中東部にあるシカゴとサンタモニカを結んでいた旧国道66号線の最終地点であることで有名な場所で,終着点を示すモニュメントも建てられていました.私が訪れた時には海から野生のアザラシも顔を出してくれました.
自分自身の発表内容
今回は,複合現実技術を用いた音場の可視化に関する研究をポスター発表しました.まず,音場を可視化するにあたって空間内の室内インパルス応答を測定する必要があります.しかし,より詳細な音場の情報を得るためには多数のマイクロホンによる測定を行わなければなりません.そこで提案法では,効率的に広範囲の音場を可視化するために,音波の物理モデルを用いて室内インパルス応答の推定を行います.また,推定した室内インパルス応答を複合現実デバイスを通して現実空間にそのまま表示することにより,壁の位置や音源の位置など自分の目で見たままの位置関係で反射音を含む音の伝搬の様子を観察することを実現しました.
本会議で発表された論文はACM Digital Libraryですべて公開されています.他分野の論文からも様々な知見が得られると思うので色々覗いてみてはいかがでしょうか.
おわりに
私自身,国際会議でのポスター発表が初めてでとても緊張していましたが,私の発表を目当てで来てくださった方もいたりして,有意義な議論を交わすことができました.他分野の方とお話していると自分にはなかった視点でのアプローチを得ることもできるので,音響分野に限らず色々な分野の研究に触れてみるのも良いかもしれません.
また,SIGGRAPH Asiaというアジア各国向けに開催される国際会議もあり,2024年には東京で開催されることが決定しています(SIGGRAPH Asia 2024).興味のある方はぜひ参加してみてください.