ASJ Freshニュース 第76号(2020年10月31日号) - 日本音響学会 学生・若手フォーラム

ASJ Freshニュース 第76号(2020年10月31日号)

日本音響学会研究発表会ポータルサイトの開発と運用の紹介

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日本音響学会 学生・若手フォーラム
ASJ Freshニュース 第76号
2020年10月31日 発行
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日本音響学会研究発表会ポータルサイトの開発と運用の紹介
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はじめに

日本音響学会では、半年に一度開催される研究発表会にて、専用のポータルサイトが活用されています。

日本音響学会研究発表会ポータルサイト
https://www.mtg.acoustics.jp/

このポータルサイトでは、

  • 発表情報
  • スケジュール(全体版、会場別リアルタイム版)
  • 開催期間中のイベント情報

などが網羅されており、研究発表会の参加者をサポートしてくれます。さらに、COVID-19 の影響によりリモート開催となった今回、ポータルサイトも大幅な進化を遂げました。

そこで、ポータルサイトの開発/運用を行なっている日本音響学会 広報・電子化委員会、 2020年秋季研究発表会遠隔開催実行委員会のメンバーである伊佐衣代さんにインタビューを実施しました。

音響学会研発を支えているポータルサイトが、若手研究者によってどのように作られているか、皆さんも知ってみましょう!

インタビュー内容

1. 伊佐さんはいつ頃からポータルサイトの運営メンバーとして参加しているのでしょうか?

学部4年生だった2015年春季研究発表会のときにお手伝いとして参加したのが初めてで、正式に広報・電子化委員として参加したのは2015年秋季研究発表会からです。

 

2. はじめのポータルサイト(2015年春季公開)はどのような目的で、どのように作られたのでしょうか?

日本音響学会学会誌の活動報告にて西村 竜一先生(和歌山大)が報告されているとおり[1]、講演論文集は要旨が掲載されて非常に有用な反面、会場で持ち歩くには重くて大変であるという欠点があります。ポータルサイトはそのような欠点を補うために作られたものだと認識しています。もともとは、東日本大震災のときの教訓で、情報を集約して、参加者にすみやかに情報を発信できる体制を作りたいという動機があって作成に至ったのだそうです。

ポータルサイトの基本機能である発表一覧ページの作成は、講演論文集の発行直後にcsv形式でデータを受け取ってから開始します。具体的な作業内容としては、開催時間帯(午前/午後のようなざっくりした表示*)を開催時間(具体的な時刻*)の情報に補完するなどの手作業での工程を経て、ルールを書いたプログラムでJSON形式に整形してから皆様にお届けしています。

[1] 西村竜一, “活動報告 研究発表会ポータルサイトの紹介,” 日本音響学会誌, 73 巻, 9 号, pp. 615–616, 2017, URL: https://doi.org/10.20697/jasj.73.9_615

 

3. ポータルサイトを作るにあたって、学生時代の知識から新たに勉強•習得したことはありましたか?

学部生の時はデザイン情報学科で、デザインと情報の分野を横断して学んでいました。

デザイン分野ではヒューマンマシンインターフェースや人間工学といった授業を受けて使いやすいUIのルールがあることを知りました。初期のポータルサイトのトップページの作成時には、こういった教科書を読み返して取り入れられるところを取り入れたりしています。そのため、デザイン面はほとんど教科書頼りです。色の選び方については、Twitterでフォローしている同窓生やウェブサイト制作をされる方々が流してくれる便利サイトなどの情報を仕入れることがあります。

情報分野では、ウェブサーバの立ち上げ〜Wordpressの実習をしましたがいまいち身になった実感はなく、何かしらのウェブサイトを制作する時に自分自身で張る情報収集アンテナで、マイペースにちょっとずつライブラリやフレームワークを学んでいます。最初はCSSやJavascriptを生で書くのが精一杯で、ドキュメントさえ読めば便利なbootstrapやjQueryなどに手をつける余裕はありませんでした。


4. 初めて作成したポータルサイト(2015年公開)が実際に公開され、研発参加者によって使用された時はどのような思いでしたでしょうか?

便利だと思ってくれるといいなと思っていました。

ウェブサイトのデザイン・実装ともに素人なので、常にフィードバックを求めていました。当時の私のTwitterアカウントでも研発期間中は「バグがあったら直接私にご連絡いただいて構いません」といった旨のツイートを連発していたと思います。

 

5. 前回の研発までにも、様々なアップデートが行われたと思います。これまで行ったアップデートで注目ポイントがあれば教えてください。

初期のポータルサイトから増えた機能としては、「講演検索」と「全体スケジュール」と「講演共有」があります。

講演検索機能は、タイトルや著者を文字列一致で検索でき、会場別講演一覧のページに飛ぶことができます。単純な文字列一致なので表記ゆれには対応していませんが、興味のある分野のキーワードを入力すれば関連する発表に一発でアクセスできるので便利ではないかと思います。これは主に私が実装を担当しました。

全体スケジュール機能は、セッション単位での俯瞰ができる機能で、時間帯で緑色のバーが移動していくので、現在開催しているセッションと次の時間のセッションを把握しやすくなっています。これは講演一覧機能の延長で、原 直先生(岡山大)が実装を担当されました。

講演共有機能は、会場別講演一覧機能に追加されたもので、会場別講演一覧の当該講演を表示するURLや講演概要情報のURLを簡単にSNSなどで共有できます。著者の方はSNSでの発表の宣伝にお使いいただけますし、先生方は研究室内Slackで学生の皆さんに注目してほしい講演を共有しやすくなっています。こちらの機能も原先生が実装し、「研究室の学生に論文を読んで欲しい」という気持ちが込められているそうです。

 

6. ここからは今回のポータルサイトに関しての質問です。今回は COVID-19 の影響で、リモート開催に対応した大幅アップデートが行われました。その際に開発メンバーや運用メンバーに大きな変化はありましたか?

ポータルサイト開発・運用において実質的なメンバーの変化はありませんでした。しかしながら、リモート開催の中核をなすこともあって、音響学会の上部組織のご意向を遠隔開催実行委員会幹事の先生方に伝えていただいて反映したところがあります。そのため、これまでよりも公開までに関わった人の数は大きく増えたのだろうと思います。

 

7. リモート開催にあたって、新たに追加した機能・コンテンツやアップデートした部分について教えてください。

口頭発表会場の講演一覧は、これまでのポータルサイトの講演一覧機能に、Zoom会場への入り口を追加しました。どのように設けるべきか悩みましたが、会場ごとにURLが決まっていたので、会場名と講演ごとの2ヶ所にすることで冗長性を担保しています。

ポスター会場の講演一覧は、会場開催のときは口頭発表会場と大体同じように扱っていましたが、ポスター掲示会場であるMoodleへのリンクを貼る必要や並列で開催される質疑応答会場を共に表示しなければならないので、別の表示システムとして独立することになりました。

また、これはリモート開催に向けて準備していたものではなく、2020年春季研究発表会に向けて実装していたのですが、トップページのデザインを変更しました。従来のポータルサイトは会場でスマートフォンで閲覧することを想定していたので、PCからの閲覧には少々不向きでした。両方にうまく対応できるように変更しようとしていたらPCによる閲覧がメインとなるリモート開催に噛み合って良かったと感じました。

 

8. 今回のポータルサイトを開設するにあたって、新たに勉強•習得したことはありましたか?

列挙すると「Dockerによるテスト環境構築」、「ベーシック認証」、「SCSS」、「Flexbox」です。

今回のポータルサイトでは研究発表会参加者のみに公開する領域ができたため、ユーザを認証する必要がありました。ユーザ認証の方法の中でも、サーバ負荷の小さいベーシック認証を導入することになりましたが、サーバの知識をまるで持ち合わせていないのでテスト環境の構築から調べて学びました。

本務を通してプログラミングの趣向も日々変化しており、スタイルをプログラムするにもオブジェクトに紐づいたほうがわかりやすいし、読みやすいだろうという気持ちがあり、今回初めてCSSのメタ言語を導入して開発しました。このおかげでCSSで再帰的なスタイルの適用が発生することに気付いたり、変数を導入できるので配色などの変更が容易になり、開発効率や保守性などが向上したと思います。

 

9. 一番大変な作業は何ですか?

例年のポータルサイトの作業の中で、私が担当できる領域で最も大変だったのは交通情報をまとめることでした。実は現地実行委員会とほとんど連携していなかったので、自主的に調べたりしてコンテンツを充実させていました(反省点ですね)。前述の作業は今回は発生しなかったので次点も挙げると、スペシャルセッションをトップページにまとめる作業です。HTMLをベタ書きしているので、コピーしてきた文字列にタグを挟み込んでいくのがとてもめんどうくさいです(笑)

 

10. 最後に、若手研究者や学生に向けてメッセージをお願いします!

今回紹介させていただいたように、研究成果の発表の場にはその場を運営する裏方のお仕事が隠れています。この裏方のお仕事はボランティアで成り立っております。広報・電子化委員会は、有志が集って委員会を構成しており、学会の広報・交流の促進と電子化のための実働を担っています。

ポータルサイトは大枠が完成しており運用段階のものになっていますが、学会における諸活動をより便利にできるだろう課題がまだまだたくさんあります。

こんなことができたらいいのに、自分だったらこういうことをしたいというご意見・ご感想をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ私たちとより活発で有意義に音響学術コミュニティを盛り上げていくお手伝いをしませんか?


連絡先:

  • 日本音響学会 Twitter アカウント
    @asj_onkyo (
    https://twitter.com/asj_onkyo)
  • 広報・電子化委員会メーリングリスト
    asj-itcom(at)acoustics.jp
    ※ (at)を@に変更してください、

* インタビュアー/編集者による追記

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