ASJ Freshニュース 第98号 (2022年10月28日号)

ASJ Freshニュース 第98号 (2022年10月28日号)

◆ Inter-Noise 2022 参加報告
◆ IWAENC 2022 参加報告

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日本音響学会 学生・若手フォーラム
ASJ Freshニュース 第98号
2022年10月28日 発行
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はじめに

 気温や為替の値動きがLPC係数のように激しく移り変わる今日この頃ですが,いかがお過ごしでしょうか?今月号のASJ Freshニュースは,8月と9月にそれぞれ開催された国際会議であるInter-Noise 2022とIWAENC 2022の参加報告をお送りします.

Inter-Noise 2022 参加報告(東大 米村さん)

はじめに

 2022年8月21-24日にイギリスのグラスゴーで開催されたInter-Noise 2022に参加してきました.Inter-Noiseは,I-INCE(The International Institute of Noise Control Engineering)が毎年開催している国際会議で,日本音響学会でいうと騒音・振動や建築音響の分野,また振動に関連して機械系の分野の研究者が集まります.開催地は,アメリカ→ヨーロッパ→アジア・オセアニア地域を順に巡っていて,私はほぼ毎年エントリーしていますが,現地参加は2019年のMadrid以来3年ぶりでした.

会議の様子

 学会自体はハイブリッド開催で,現地参加しない場合は事前にプレゼンテーションビデオを提出しておくシステムでした.バーチャルセッションにまとめるのではなく,現地参加者の発表に混じってプレゼンテーションビデオが再生されるというものだったので,比較的平等に目に触れるようにはなっていたように思います.全800件の発表が15会場に振り分けられ,そのうち4会場がライブ配信されるほか,全ての会場での発表は録画され後日webで見られるようになっていました.質問は現地で直接やりとりするのに加えて,webプラットフォームからチャットがくるようにもなっていました.

 自分が発表したセッションはライブ配信されていたので,その場で質問のチャットがきたり,日本から見てくれていた先生からメールが来たり,恥ずかしさ半分うれしさ半分,といったところでした.発表の場での英語のやりとりにはかなり苦手意識がありますが,セッション後に話をしたり論文を紹介してもらえたりするのは行ってこその経験でした(一方でwebにきた質問にコメントを返しながら「作文はできるのにパッと喋れないもんだなあ…」と反省したりしていました).

ここで(コロナ禍を経てあらためて)国際会議のここが良いなと思った点を二つ挙げたいと思います.

  • コミュニケーションが活発である
     現地の様子は公式twitterに写真がいくつか上がっているのでぜひご覧ください(https://mobile.twitter.com/internoise2022).日本との大きな違いとして,知らない人とも喋ろうという空気を濃く感じました学生や若手研究者のための交流イベントが大々的に企画されており,そういったところに顔を出すと同年代の友人ができたり,ファシリテーターのシニア研究者とも話ができたりします

  • 研究へのモチベーションを様々な面から摂取できる  
     国際的にはどういったトピックに興味を持たれているのか,というのを知ることができるのが醍醐味だと思います日本では自分以外にやっている人がいないけれど…というトピックも,国際会議に持っていくと同じ興味を持っている人がいるので,そこからアプローチを学んだり,ひっそりと(自分も悪くないのでは?)と思ったり,直接話をしてみたりと非常に刺激になりましたまた,自分が一生懸命勉強した論文を書いた先生がその辺でコーヒーを飲んでいるのを見られたりもします(これが嬉しいのはファン心理でしょうか)

むすび

 国際会議への参加は,自分含め英語が得意でない人にはなかなかに大変ですが,それ以上に実りある機会になると思いますそしてなんと来年のInter-Noise8/20-23に千葉・幕張で開催されます!渡航がちょっと負担,と思っている方にも参加しやすい年でもあるので,ぜひ発表や聴講で参加してみませんか?Inter-Noise 2023の発表エントリーは11月にオープン予定,来年2月が締め切りです最新情報はHPhttps://internoise2023.org)にて告知されますので,ぜひチェックしてみてください.  

(米村美紀さん/東京大学 生産技術研究所) 

IWAENC 2022 参加報告(京都大学 須村さん)

はじめに

 IWAENC (International Workshop on Acoustic Signal Enhancement)は,音声・音響信号の取得と処理に関連する理論的・実践的な側面を扱う国際会議です.IWAENC2022は,2022年9月5日から8日の期間,ドイツのバンベルクで開催されました.通常は2年に1回開催される会議ですが,2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で開始以来初の中止となり,2022年は4年ぶりの開催となりました.

会議の様子

 会議には,ドイツやイギリスをはじめとしたヨーロッパ諸国のほか,日本,アメリカ,中国,インドなどの国々から200人以上の参加者が出席しました.論文の発表形態としては,ポスター発表が合計6つのセッションで初日を除く3日間に渡り行われたほか,3日目には6名が講義形式による発表を行いました.国際会議の規模としてはさほど大きくはないものの,音響信号処理分野における大御所と言える方も多く集結し,非常に活発な交流と議論が行われていた印象です.私自身もポスター発表を通じて議論しコメントを頂いたほか,世界の研究者の発表を聞いたり質問をし合ったりして非常に貴重な交流の場となりました.

 会場では,論文発表のほか主要研究者による講演,デモが行われ,ウェルカムパーティーやコーヒーブレイク,ランチも用意されていました.また,歴史のある城でのバンケットやバンベルクの街のガイドツアーも開催されました.4日間を通じて非常に充実した内容で,研究や国際交流・体験としてとても思い出に残るものになりました.

会場の街の様子

 IWAENC 2022が開催されたバンベルクは,ドイツの中でも人口約77,000人と小さな街ですが,非常に深い歴史のある街でもありました.私はガイドツアーでバンベルクの街を少し歩いて回りましたが,雰囲気はとても落ち着いていて穏やかな印象で,テラス席では陽が沈む前からビールなどを楽しまれている方もいました.自然に囲まれた歴史ある町並みは世界遺産に登録されているようです.会場の近くの大聖堂からは西欧のさまざまな時代の歴史が感じられ,内部は荘厳な雰囲気が漂っていました.夕食でいただいた燻製ビールは,バンベルクでの歴史をもつ地ビールのようで,一緒にいただいたローストポークと共に非常に美味しかったです.観光は短時間でしたが,バンベルクの雰囲気を存分に感じることができました.

むすび

 IWAENCは,音響信号処理分野を対象とする国際会議で,2022年はドイツ・バンベルクで4日間に渡り開催されました.期間を通して親密で活発な交流の機会となり,非常に貴重な経験となりました.なお,次回のIWAENC 2024は,デンマークのオールボーで開催される予定です.

(須村 允亮さん/京都大学 大学院情報学研究科)

おわりに

 参加報告の執筆にご協力いただいた米村さん、須村さんありがとうございました!多くの国際会議が次々と現地開催へ踏み切っており,かつての活気を取り戻しつつあります.一方で,10月24日から講演申込が始まっている春季研究発表会は残念ながらオンライン開催となります.ちょうど過渡期にある今ですが,多様な発表形態に合わせたプレゼンテーション能力を磨くよい機会かもしれませんね.

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